すごいタイトル

気恥ずかしくて電車で読むには少し辛いタイトルを持つ、ハワード・ゴールドマン『すごい考え方』の頁17に、ヘレン・ケラーの言葉として、

 『私』という言葉を知ったときに初めて、
 私は誰であるか、何であるかを知ったのです。
 私という意識が存在することを理解したのです。

とあった。出典を知りたくて角川文庫の『わたしの生涯』をめくってみたが、無い。

ところで、、、、

人間は「言葉」で動いており、「その人の価値観が反映された言葉には、言霊が宿り始める。」(頁28)とまで主張する『すごい考え方』を読んでいると、ふと、井沢元彦の『言霊―なぜ日本に、本当の自由がないのか』にあった言霊撲滅論が連想された。井沢によれば、いまどき言霊に誑かされているのは日本人くらいのもので、この言霊こそが日本人を駄目にしている元凶だ、とのことだが、背景にある井沢の軽々しい科学観と8割の強弁が、2割の真実を打ち消してしまっていて、とても残念である。

残念と言えば、最近一気に読んだ『ダ・ヴィンチ・コード』にも、いい加減な記述や明らかな誤りが含まれており、折角の深みにケチを付けてしまっている。

たとえば、角川文庫版上巻の頁175に黄金比の例として、身長÷ヘソ身長(床からヘソまでの長さ)を挙げているが、身内でさっそく実測した結果は以下のとおり。たとえ標本集団を10万人揃えたとしても、とても1.618に近づくとは思えない。

173÷104 = 1.66
159÷ 91 = 1.75
111÷ 64 = 1.73
 83÷ 42 = 1.98

まあ、上の数値には1歳の幼児も含まれているし、また、単に日本人は足が短い所為だ、と反論されると、違った意味でちょっと辛い面はあるが。